派遣のひと

アルバイトの職場の同僚でちょっと気になるひとがいる。
立花さんという女性で、最近派遣で入ってこられた人だ。
肩までざっざっとのびた漆黒の髪は、あまりとかしたような印象はなく
もどしかけのわかめのようになっている。
化粧気のない顔に、赤っぽいにきびがぽつぽつとできていて、
いつも、履きこんだナイキのランニングシューズにジーパン、ゆったりとした
ニットリブを着ている。
そんなかんじの人。

彼女の働き方は徹底していて
終業時間意外は決して働かない。
それを徹底している私ですら、おお!と思うくらいなので
たぶん相当な徹底の仕方なんだろう。
机には黒い革のメンズの腕時計が置いてある。
よく見るとかなり値のはりそうな。
彼女の時計が休み時間をさすと、単行本を出してずっと読んでいる
と思えば、ふらりと外へ出たりしてぎりぎりまで戻ってこなかったり。

就業中の彼女は、たいした働きっぷりである。
というか、事務作業に長けている。
無駄がない。
うちみたいに、ミスのフォローをするために無駄なミスをする、という
どつぼにはまることがない。
他の派遣さんだったら、おろおろしていたらすかさず声をかけてくれて
一緒におろおろしてくれるけど
彼女はそういうフォローは一切ない。
それでも、彼女の横で仕事をするのは決して嫌いではない。
なんというか、雰囲気がラクなのだ。

そういうわけで、今日もたった4時間だけど
お金を稼ぐことができた。
たいした進歩。