目を見て話すと気持ちが伝わるっていうけど
その人の目は何も見ていなかった。
焼きすぎた目玉焼きのように、黒目も白目も薄い膜をかぶっていた。

ねえ、何を考えてんの。
こっちも別に泣き落とそうと思って涙を流しているんじゃない。
涙を流すことは負けじゃない。
涙を流すことは弱いことじゃない。
勝負は涙をふいたあとからはじまるってあんた知らないでしょ。
そう思っていても、人前での涙は結構格好わるい。

カードをぜんぶ見せてしまう私。
カードをしまうあなた。

こんな人にふりまわされる、私の人生がなんだか可哀想に思えてくる。
言い訳はしない、と思ったのは最後のプライド。
「そうですね。そうえすね。ええ、そうですね。。。。」